映画ミッドサマーは宣伝も面白い


こんにちは!山内です。

自分も五十嵐同様、映画が好き&前職が映画宣伝会社ということもあり、映画宣伝についてのブログを書こうと思います。

今回は自分が先日見てドはまりしたホラー『ミッドサマー』について、「上手いな~」と感じた宣伝方法を紹介します。

・『ミッドサマー』とは?

2018年に公開され、高い評価を集めたホラー映画『へレディタリー/継承』のアリ・アスター最新作。
スウェーデンのある村で、日が沈まない”夏至=ミッドサマー”に行われる祭りに招かれたアメリカ人男女が経験する恐怖を描いた作品です。

公開日の2月21日(金)から2月24日(月)までの4日間で動員7万7,125人、興行収入1億1545万400円(全国106スクリーン)を記録していて、同日公開の大作『チャーリーズ・エンジェル』(全国306スクリーン)や、本年度アカデミー賞受賞作『スキャンダル』(全国200スクリーン)を超える興行成績を達成しています。
出典:https://www.cinemacafe.net/article/2020/02/27/66001.html

監督の前作『へレディタリー/継承』が高い評価を得ながらも、累計興行収入約1.3億円であった事を考えると異例のヒットと言えます。

ヒットの要因は多々ありますが、宣伝方法に着目して「上手いな~」と思ったのは特に、

①「ホラー映画」と謳わず、「フェスティバル・スリラー映画」と謳った点
②「アート映画」っぽさを訴求した宣伝施策を訴求した点

となります。

■洋画ホラーは当たらない?
まず①に関して、

公式サイトでは映画を下記の通り紹介しています。

明るいことが、おそろしい
太陽と花々に満たされた祝祭の果ては、究極の恐怖と、未体験の解放感

長編デビュー作 『ヘレディタリー/継承 』が世界中で絶賛され、
いまハリウッドの製作陣が”最も組みたいクリエイター”として注目しているアリ・アスター監督の最新作。恐怖の歴史を覆す、暗闇とは真逆の明るい祝祭を舞台に、天才的な発想と演出、全シーンが伏線となる緻密な脚本、観る者を魅惑する極彩色の映像美が一体となり、永遠に忘れられない結末に到達する。前代未聞の”フェスティバル・スリラー”がついに日本上陸!
URL:https://www.phantom-film.com/midsommar/

↑全編にわたって、映画や監督を表す言葉として「ホラー」という言葉を全く用いていません。これはSNSでの展開でも同様です。分かりやすい「ホラー」というジャンル想起をさせる言葉を敢えて避け、「フェスティバル・スリラー」という表現にしています。

この意図として、洋画業界では「実はヒットしづらいと言われているジャンル」というのが存在します。具体的には、
・アメコミ原作もの

・洋画コメディ

・洋画ホラー

・洋画戦争モノ

です。その理由として、日本人(特にメインの女性ターゲット)が「自分ゴト化」しづらいから、と言われています。ジェイソンよりも貞子の方が怖く感じる、、的な奴です。

※アメコミは、昨今の『ジョーカー』『アベンジャーズ』のヒットで受け入れられつつある印象ですが、自分が昔担当していた某アメコミ大作映画では『アメコミ』という表現を用いないように宣伝しておりました。

こうした現状を受けつつ、『ミッドサマー』では、「ホラー」という表現をただ避けるのでなく、「フェスティバル・スリラー」と新語に置き換えることで、

日本でも馴染みやすい「祭り」文化へのイメージ想起と、聞きなれない言葉であることの新しいジャンル感を醸成しているのが「上手いな~」と感じました。

 

■女の子が見やすい映画に

通常こうしたホラー映画の場合、前述の「ヒットしづらい」という前提踏まえて、
「コアな映画好き」に訴求する宣伝ををすることが多いのですが、今作は「アートっぽさ」を打ち出しています。

これは実際の宣伝でどんな訴求をしているか?を見ると分かりやすいです。

例①:ヒグチユウコ、大島依提亜によるアートポスター作成
参考URL:https://togetter.com/li/1461845
⇒アート嗜好の人に人気が高い、イラストレーター2名の日本版限定アートポスターを公開する。

例②:「ミッドサマー」ファンアートキャンペーン
参考URL:https://www.phantom-film.com/midsommar/fanart/
⇒SNSキャンペーンとして、ファンに「#ミッドサマーファンアート」と着けて
イラストや写真をファンアートにしてあげてもらい、抽選で先述のファンポスターや監督サイン、
雑誌「POPEYE」とコラボしたTシャツをプレゼントするキャンペーン。自分でイラストをアップしなければいけない、という中々ハードルが高いキャンペーンですが、2/19のキャンペーン開始から、既に500以上の投稿がついています。

例③ホラー映画には珍しいインスタアカウント
URL:https://www.instagram.com/midsommarjp/
⇒意外ときちんとアカウント作って宣伝活用している映画は少ないなかで※
フォロワー数は2000余りと多くはありませんが、きちんと世界観を作ったインスタ投稿を行っているのは印象的です。特に最初の投稿は9つの投稿でようやく1場面写真となる投稿で、かなりの凝りようです。

※あくまで一般論ですが、言葉での説明が必要な日本観客には、ヴィジュアルをメインで訴求するインスタはあまり相性が良くないとされています 

もちろん、これ以外にも、映画好きに向けて監督のアリ・アスター監督を来日させたり、
一般認知拡大のため?のファーストサマーウィカさんが「ミッドサマー」ウィカに改名?イベント
的な宣伝もあった上ですが、アートを立てて、女子にも見やすい映画、として訴求したのは「上手いな~」と感じました。

実際自分が見た際も、前には女子2人がキャッキャ言いながら見ていたのが印象的でした。※上映後無言になっていましたが。。

■映画の特長を踏まえた宣伝展開

そのほかにも、ウンチク知りたい」映画好きの心理をうまく突いた宣伝展開として
公式サイト上で「見た人限定 完全解説ページ」(URL:https://www.phantom-film.com/midsommar/mystery/index.html)というネタバレ全開で作中の謎を解説するページを作って再度見ることを促すなど、全体的に作品の特長をきちんと生かした宣伝展開が施されていました。

■「誰に/何を訴求しているか?」に注目すると道を歩くのも楽しくなる。
今回は自分の好きな映画の宣伝に注目して書きましたが、映画に限らず、色々な商材のポスターとかから「何を/誰に訴求するためのものなんだろう?」といった視点で見ると、街歩きも楽しくなるのでおススメです。

 


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