情報と文脈:1人年間60,000円の書籍購入予算をとっている理由


こんにちは。パブリックグッド代表の菅原です。

当社では社員ひとりあたり、年間60,000円まで知見収集用の書籍を自由に買える制度を設けています。入社時に電子書籍端末をお渡しして、誰かが買った書籍を全社員が読めるようにしてあり、2か月に1回ほど当番制で、最近読んだ本の中から1冊を選び、読書によって得た気づきや知見を発表し合っています。

5Gなどのインターネットの高速化やスマートフォンの高機能化によって、わたしたちはこれまでにないくらい、容易に情報を得ることができるようになりました。一方でその容易さゆえに、得ている情報が断片的であり、また、自分のタイムラインに表示される情報がそのまま世論であるかのように感じられてしまう「フィルダーバブル」や「エコーチェンバー」といった偏向性の問題も指摘されています。

例えば、当社の社名はパブリックグッドで、その意味や社名に込めた想いは(たぶん)ググれば出てきますが、創業時、パブリックグッドのほかに「ウルカス」「オガル」などの候補があったことは検索しても出てきません。「ウルカス」はわたしの出身地である岩手県の方言で「ふやかす」「水に漬けておく」という意味で、クライアントさんの抱えている課題を一緒に「ウルカス」ことで貢献したいという思いが込められています。また「オガル」は同様に岩手弁で「成長する」という意味で、これもクライアントさんの事業を「成長させていきたい」という私たちのスタンスを表しています(結局、社名を岩手弁にする必要がないという根本的な理由でボツにしました。なら検討するなよ)。

わたしは検索すれば無数に出てくるものを「情報」と呼び、例えば「ウルカス」「オガル」に込めた「想い」であったり、その「周辺情報」であったり、「体系」や「背景」だったり、検索してもなかなか出会えない情報を「文脈」と呼んでいます(お仕事をご一緒させていただくと、わたしのプランニングはこの「文脈」を根幹にしていることが伝わると思います)。

こうした「文脈」にこそ、人を動かしたり成長させたりする力があり、非常に極端に言えば、当社のPRとはこの「文脈」を構築することに他ならないわけですが、単にググったり、自分のタイムラインを眺めているだけでは、その重要性に気づくことは困難なように感じます。せいぜいがWikiに載っている情報を見て、「へー」と感じる程度ではないでしょうか。

書籍とは、自分の何百倍もの能力を持った専門家が、途方もない年月をかけて導いた文脈の宝庫ですが、単に回答やノウハウや欲しいだけなら、書籍を読む必要はあまりありません。キーボードを叩けば、無数の情報を無料かつ短時間で得ることができるからです。
そんな時代に、わざわざそれなりの時間と費用を払って、書籍を読むことの意味は、ひとえに文脈の価値や威力や、大げさに言うと読者の人生における有用性を信じているからです。

大事なことなので二度言いますが、当社のPRは乱暴に言えば、「文脈を作ること」です。文脈をつくる人間だからこそ、先人の紡いだ文脈を味わい、大切にしてほしいと願っています。


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