Vol.3「美人の隣に座れるのは美人に告白した男だけだ」|漫画「インベスターZ」連載企画


漫画「インベスターZ」からビジネススキルについて学ぶblog連載、最終回の今回は、作品に実名で登場する実業家らの賢察から私たちのビジネスのヒントを探ります。今回取り上げるコマも、文脈をご理解いただくために若干長めですが、ぜひご覧ください。

 

※いきなりこのページにいらした方は、この連載企画の趣旨をご参照ください。


シーン(1)「美人の隣に座れるのは美人に告白した男だけだ」

堀江貴文氏。ご存じホリエモン。元ライブドア代表取締役社長CEO、現在、SNS media & consulting株式会社 ファウンダー。ホリエモンが本作の若手登場人物を引き連れ北海道のある企業へ行く道中、電車内で「ビジネスにおいて一番大事なものは何か?」というテーマに対して、発した一言。

 

 

「インベスターZ」8巻より ©三田紀房/コルク


シーン(2)「余計なことはしない…からかな」

前澤勇作氏。ファッション通販サイトZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイの創業者、代表取締役社長。道塾学園・創業家藤田家の長女が率いる女子投資部。その面々と一緒にZOZOタウンの前澤社長に会った際、「ここまで事業が成功した理由は?」と聞かれ答えた一言。

 

「インベスターZ」13巻より ©三田紀房/コルク


シーン(3)「ウチはね…節操がないからエロからエコまでなんでもやるの」

亀山敬司氏。DMM.comグループ創業者、現DGホールディングス会長。道塾学園・創業家藤田家の長女が率いる女子投資部のメンバー町田倫子の姉・浩子は就職活動中の大学生。ひょんなことからDMMの亀山会長に会い、DMMの事業について尋ねる

 

 

「インベスターZ」9巻より ©三田紀房/コルク


●実在の実業家にビジネスのヒントを学ぶ

「インベスターZ」には実在の実業家が実名で何名も登場します。今回は彼らの賢察から私たちのビジネスのヒントを探っていきたいと思います。

 

作中に登場する実在の実業家は、堀江貴文氏、ZOZOタウンの前澤勇作氏、DMMの亀山敬司氏のほか、ユーグレナの出雲充氏、麻生グループの麻生巌氏、また作品には登場しませんが楽天の三木谷浩史氏も巻末インタビューで登場します。内容から察するに、著者の三田氏が直接ご本人に取材をして描かれたものと思われます。

 

特にホリエモンは、存在感が強く描かれています。他の実業家の方々が、本作の登場人物が何かしらの参考にするためにインタビューに行くというスタイルで出演するのに対して、ホリエモンだけはストーリー進行の主要人物として出演します。こちらの記事にあるように、著者の三田氏とは旧知の間柄のようです。

 

●成功とは「ただやればいいだけ」

さて、シーン(1)から見てみましょう。ホリエモンが本作の若手登場人物を引き連れ北海道のある企業へ行く道中、電車内で「ビジネスにおいて一番大事なものは何か?」という問いを彼らに投げかけます。若手たちから「判断力」や「革新的なアイデア力」といった回答が出されますが、一番は「行動力」だと説きます。「美人の隣に座れるのは美人に告白した男だけだ」というセリフが象徴するように、なんだかんだとやらない人間が多いからこそ、やる人間が成功を収めると持論を展開します。

 

●「余計なことはしない」と「何でもやる」の矛盾

シーン(2)とシーン(3)はぜひ対比でご覧いただきたい。(2)は先日、採寸できるスーツ「ZOZOスーツ」で世間の度肝を抜いたZOZOタウンの前澤社長。とにかく無駄なことが嫌いという同氏は、ビジネスの成功の秘訣を「余計なことをしないこと」と言います。

 

(3)は顔出しNGで有名なDMM亀山会長の一言。こちらは前澤氏と真逆で「何でもやる」と言います。確かに、両社の事業展開を見てもTOPの意向が見事に反映されています。

 

ZOZOタウンのIR資料を見ると「当社グループは、「世界中をカッコよく、世界中に笑顔を。」という企業理念のもと、日本最大級のファッションECサイト「ZOZOTOWN」及びファッションメディア「WEAR」の運営を中心に事業活動を行っております」とあり、この理念を主軸にしたファッション関連事業のみで収益を上げていることが分かります。

 

一方のDMMは非公開企業なので詳細なIR資料は見ることはできませんが、同社のWebサイトには本業のエロを含むメディア事業を展開する株式会社DMM.comをはじめ、コンテンツ制作のDMM.com ラボ、ゲーム制作のDMM.com OVERRIDE、金融のDMM.com 証券、VR THEATERの運営を手掛けるDMM.futureworks、物流のDMM.com Base、人材のDMM.staffなど、こう言ってはなんですが、一貫性のない、非常に多岐にわたるグループ企業が名を連ねています。

 

●矛盾した見解の上位にある「やると決めたらリスクをとってやる」

勢いのある両社のTOPの意見が真っ向から対立しているのを見ると、「結局、ビジネスの成功に共通の方程式はないのだ」と思いたくなりますし、事実、そうなのだとも思いますが、ZOZOの「余計なことはしない」とDMMの「何でもやる」のふたつの上には「やると決めたらリスクをとってやる」が通底していると感じます。つまり双方の上位概念に矛盾はない、ということです。

私はいろいろな経緯を経て、2013年に当社の森下と2人でパブリックグッドを創業しましたが、確かにやると決めるまではものすごい躊躇した記憶があります。なぜなら、会社を興すことは、論理的に考えれば、うまくいく可能性は極めて低いからです。むしろ森下のほうが「よし、やってみるか」と意思決定は早かった気がします。

 

会社を興すということに限らず、事業全般に言えると思いますが、「やるかやらないか」と「論理的に正しいか正しくないか」は相容れない場合が多いと感じます。なぜなら未来のことはだれにも分からないので、論理的な正しさは導きようがないからです。それでも信じられない幸運に助けられながら、弱小企業ながらどうにかこうにか5年目を迎えられた今、「やってみてから考える」ことの大切さは経験できたように思います。ごちゃごちゃ言ってないでやる、成功したら次を考える、失敗したら謝る、でいいのだと思います。

 

●「やる」と「やらない」を分けるものは何か?

やるかやらないか、何が違うのでしょうか。成功を収めた人だけに未来が見えるようには思えません。私の場合は(やや青臭くて恥ずかしいのですが)仲間の存在ではないかなと思います。

 

働き方改革の昨今、身の回りにもひとりでビジネスを展開されている方がたくさんいらっしゃいます。たまに「菅原さんはフリーランスって考えたことなかったんですか?社員を雇うのって大変だし、正直、リスクもあるし、ひとりのほうが儲かるじゃないですか?」といった趣旨のことを聞かれることがありますが、私は「フリーランスは考えたことがない。たぶんひとりだったら独立してなかった」と断言しています。

 

当社は数人規模の会社ですが、一人よりも二人、二人よりも三人のほうが、「自分でも知らなかった自分を引き出してもらえる」割合が多いと体感しています。「おれ、こんなこと思いつけるんだ」とか「ここまで精緻にできるんだ」とか、想像以上に自分に出会えることが一人の時よりも格段に増えます。その原動力に「ただパブリックグッドのメンバーと駄弁る」ことがあるように感じますし、それが無形商材であるPR会社の、というか当社の価値の源泉であるようにも思います。

 

自分以外の他者と駄弁るために組織を整えたり、給与体系を考えたり(私は給与計算が超苦手です)、給与や賞与のために資金繰りをしたり、社会保険や税金を払ったり、役所や税理士、社労士、弁護士とやり取りすることをリスクと呼ぶなら、私は喜んでそのリスクを飲み込みます。というか、これがリスクだとは思えません。

 

先の「やるかやらないかの違いは何か」というテーマに戻ると、「世にいうリスクがリスクに見えなくなるための要素を持っているかどうか」なのではないでしょうか。私は「仲間」と言いましたが、普「事業への確信」の人もいれば、「データ」「技術」「自信」「キャッシュ」「情熱」「信念」「実績」色々あるでしょう。

 

何にせよ、未来が見える人は存在しません。未来のことを思ったとき、にょきにょきと浮かび上がるリスクが、リスクに見えなくなる要素を持てている人が「やれる人」なのかもしれません。

 

まとめ

・成功は実はものすごく簡単。やればいいだけのこと。やり方で、「余計なことをしないこと」や「何でもやる」はやる人の判断で良い

・やるかやらないかを論理的正しさから導こうと思うと無理が生じる。なぜなら誰にも未来は分からないから

・やれる人間とやれない人間は、未来のことを思ったとき、「リスクを消せる要素」を持てているかどうかの違いだけ。私の場合は仲間。


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