いまいちピンとこない「いま話題の●●」の原因と対策と波平になりたい


こんにちは。パブリックグッド代表の菅原です。

ぼくらPR界隈では昔から「いま話題の●●」とか「最近、ブームの●●」という枕詞がわりと普通に使われています。健康食品でも、スマホでも、スニーカーでも、洋服でも、業界や商材を問わず、”流行っている”というキーワードに関して、メディアもPRパーソン個人も、それなりに敏感に反応するわけなんですが、この「いま話題の」って枕詞にいまいちピンと来なくなった感じってしませんか?

ぼくは今年、45歳になるので、そもそもそういった「流行」に関する感度が下がっている可能性はあります。例えば、ぼく自身が中学とか高校の時に、自分の父親に対して感じた「え?この芸能人、知らないの?」という過去の記憶に似た、加齢に伴う情報感度の衰え、それがこの「ピンとこなさ」をつくっているのという可能性は否定できません。否定できないんですけど、今日、ここで取り上げるのは、フィルターバブル、という現象についてです。

いま、ぼく自身に集まる情報は大なり小なり、ぼくの嗜好性が反映された、カスタマイズされたものになっています。例えば、Twitterのタイムラインは顕著で、自分が好きだ、面白いと思ってフォローした人の情報だけがぼくのタイムラインには流れてきます。これがTwitterユーザーの数だけ存在しています。つまり、全員が見ているタイムラインというものは存在しません。「いまTwitterでバズっている●●っておもしろいよなー」「●●?なにそれ?」という会話が起こるのはこのためです。これは、見ているタイムラインが違うからで、厳密には、「ぼくのタイムライン」でバズっている●●なだけで、「Twitter全体」でバズっているわけではないのです。InstagramやFacebookも同様です。

最近は、そのタイムラインでさえ、いいねを付ける傾向などが自動で分析され、その人が好みそうな情報が上位に表示されるアルゴリズムになっているので、仮にAさんとBさんでフォローしている人が同じだったとしても、表示されるタイムラインは異なり、個人の嗜好性がより一層、反映される仕組みになっています。更に、気づきにくいのですが、SNS以外でも、例えばGoogleの検索結果やキュレーションメディア、ECサイト、ネットフリックスなどのサブスクサービス、画面の端に表示されるディスプレイ広告に至るまで、インターネット上の様々な場面で実装されています。こうしたインターネット上で、自分の見たい情報だけを(意識せず、結果的に、も含めて)見ることができる機能を「フィルターバブル」と呼びます。こうした技術によって、「いま話題の●●」という枕詞へ違和感が生まれることになります。

フィルターバブルの極端化したものが「エコーチェンバー」と呼ばれる現象です。エコーチェンバー現象は、ある特定の閉鎖的な空間で特定の情報や意見が繰り返し現れることで、特定の考え方が増幅や強化されることを指します。自分の嗜好性が反映されている画面で、「●●が流行っている」といった特定の情報が繰り返し表示されることで、本来は自分の嗜好性が反映されている閉鎖的空間(Twitterのタイムライン等)だけでの流行なのに、そのことを忘れ、いつしか「本当に流行っているんだ」という考えが強化されることを指します。

従って、アンコントローラブルなアーンドやシェアドメディアを主戦場にするPRパーソンたるもの、
・単に自分のタイムライン上だけで流行っている現象であることを理解する
・定量的に捉える(×・・・流行っている、バズっている/〇・・・11万RTされている、リアルタイム検索で1位になっている等)
・どこで話題になっているのか、領域を捉える
といった原則は常に頭に入れておく必要があります。

例えば、「Twitterの村上春樹が好きそうな界隈で、1万RTされた●●」とか「Instagramでボタニカルとか丁寧なくらし系の写真にいいねする女性クラスタを中心に10万フォロワーを集めている●●」とかです。ちなみに「フィルターバブルにせよ、エコーチェンバーにせよインターネット上だけでのことじゃん、マス空間では依然として「いま話題の●●」はあり得るじゃん」という意見もあり、それはそれで一定の正しさがありますが、それならば、「いまテレビの情報番組で話題の●●」と領域を示す必要があります。

要するに、老若男女、全ての人が知っているとか、全男性が注目している、とかいう情報はほとんどないんです。この前提を見誤ると、大げさな話、戦略立案そのものがブレる可能性があります。「いま世の中は●●がキテいる、よって▲▲という戦略でいく」みたいな。世の中的に本当に●●がキテいるのか、あるいは、あなた&あなたの周辺のタイムラインでキテいる程度なのかによって、この戦略の強さは全然変わってきます。

またぼくらおじさんは若手から「ちょww部長、●●、知らないんすか―w」と揶揄されまいと、「・・・ああ、●●ね、流行ってるよなー(;´∀`)」と謎に迎合するキライがありますが、それをやめることが肝要です。それどころか、そんなことをぬかす輩は、自分のタイムラインやインターネット画面≒みんなも見ている画面、というマーケティングの知識不足を露呈しているわけですから、「バカモン!この業界にいて、フィルターバブルを知らないお前のほうがヤバい!」と言い返すようにしましょう。「知らん!」「それはお前のタイムラインで流行ってるだけだろう!」等、加齢による情報感度の衰えを棚に上げて押し返す、波平のような雷を落とす勇気が強い戦略をつくるのです。嘘です。


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